SHARP②〜あれもこれもSHARPが開発していた!
今日は、先週のブログの続きで、SHARPの創業者である早川徳次氏の足跡の続きをお届けします。是非、前回の記事も読んで今回の記事を読んで頂けると幸いです。
早川氏は、近所に住む盲目の女性の世話を頼りに、簪(かんざし)職人として奉公することになり、ここで習得した金属加工技術が後々シャープペンシルなどの発明につながり、そのシャープペンシルがSHARPの社名の由来だという話を前回しました。
さて、早川氏は、自己の成功のきっかけを作ってくれた盲目の女性への感謝を生涯忘れることはありませんでした。このことから、早川氏は『音』を作ることにもこだわり、それは現在にも受け継がれています。1980年に発売された世界で最初の音声電卓を皮切りに、「おそうじロボット」や「ロボホン」などには、早川氏の恩返しの思いも込められているのです。
そんな早川氏は経営に不可欠な「五つの蓄積」として、「信用」「資本」「人材」「奉仕」「取引先」の蓄積を重視し、実践していたといいます。
独立開業してからは、従業員も200名を越え、業績は順調に推移していきました。
しかし、天は残酷なもので、またしても早川氏に試練を与えます。
1923年に関東大震災が発生したのです。この甚大な被害により、2人の子どもと妻を亡くし、工場は焼け落ちました。
残った莫大な借金を返済するため、早川氏はシャープペンシル事業を売却し、大阪へ再起の道をかけ移り住みました。
辿り着いた土地で、早川氏はラジオの試験放送を耳にします。この時、「これからはラジオの時代だ」と早川氏は直感しました。
早川氏は直ぐにアメリカ製のラジオを購入し、分解して研究を始めました。電気の知識は皆無の状態でしたが、見よう見まねで試作を続けること約2年、国産第1号鉱石ラジオ受信機が誕生しました。培ってきた金属加工技術が幸いし、『早川式のラジオは品質が良い』と評判になったそうです。
『良い製品は良い部品から生まれる』このポリシーは、早川氏の実体験から浮かび上がってきたものです。
ラジオには、どんどん改良が加えられ、大量生産を実現する効率化も同時に進められました。専用のベルトコンベアを開発・活用することで、ラジオ1台の生産に費やす時間は56秒という効率的な量産体制を確立したのです。少年時代に会得した効率化の習慣が大いに役立ったのです。
そして、1952年には国産第1号のテレビを発売しました。さらには、電子レンジに調理完了を知らせる音が出る仕組を初めて導入したり(これが「チンする」という言葉の語源となった)、1959年には早くも太陽光発電に関する研究を始めたりするなど、まさに早川氏は時代を牽引していきました。
早川氏の口癖は「他社に真似される商品をつくれ」だったそうで、他社が真似すればそこに競争が生まれ、品質の面でも価格の面でも世の中の人に喜んでもらうことができます。そのためには未開の地を切り拓いていくことが大切で、世の中のニーズに目をこらし、苦難にもくじけない姿勢が求められます。このように、早川氏は「誠意と創意」の精神を説いたのです。
それを表す印象的な出来事があり、それは「電卓」の開発でした。
コンピューターの開発に乗り出したシャープでしたが、国家プロジェクトチームのメンバーには入れず、「自分たちの身の丈に合ったコンピューターを作ろう」と方向性を転換しました。思い浮かんだのが、八百屋の店先で使われていた「そろばん」でした。手のひらサイズの電卓を作ろうとしたのです。
そのために不可欠だったのが半導体でした。
早川氏の命を受けた技術者は、アメリカのシリコンバレーに飛び、複数の半導体メーカーを回りましたが、答えはすべて「No」でした。
実は、当時、半導体は軍需用か宇宙用として使われるのが一般的だったため、電卓に使用する発想すら非常識なものだったのだのです。
帰りの飛行機を待つ空港で、途方に暮れる技術者でしたが、そこで奇跡が起きました。
アナウンスで呼び出された技術者が向かうと、ある半導体メーカーの担当者から連絡が…「あなたの熱意に惚れました」この一言で、電卓用の半導体の提供が決まったのです。
これを機に、SHARPは電子式卓上計算機を発売し、半導体を初めて民生用に実用化することに成功しました。ただ、卓上というだけで画期的ではあったが、目指すは手のひらに乗る大きさでした。広いスペースを要する真空管の代用として白羽の矢が立ったのが「液晶」でした。存在そのものが認知されていない時代に液晶の活用に道筋をつけ、手のひらサイズの電卓を見事に実現させたのです。
如何だったでしょうか。
SHARPの歴史の奥深さに一回で収めきれず二回に分けて記事を作ってしまいました。
SHARPといえば「液晶」のイメージで、管理人の家のテレビや携帯はSHARP製品です。
また、管理人は電卓を使う機会が多いのですが、この電卓が出来たのもSHARPのお陰だと思い、有り難く使わないといけないなと思いました。
最後に…更新が不定期ですみません。